ポーの一族 ユニコーン ネタバレ

ポーの一族 「ユニコーン 著者:萩尾望都

                                                                                                                (2019年7月発売)

 

(帯より)

「無垢(イノセント)なものがほしい」

時のはざまを独り漂っていたエドガー。目覚めて求めたのはアランの姿ー

 

(裏表紙より)

2016年、ドイツ・ミュンヘンで再開したエドガーとファルカ。エドガーはアランの「消息」に言及するが、そこにバリーという男が現れて…?

新世紀の”ポー”、「春の夢」に続く第2弾!

 

以下、ネタバレです。閲覧注意してください。

 

 

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<あらすじ>

 エドガーは永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)。アランを仲間にし、2人で旅をしている。

 しかし1976年、ある事件で起きた火災でアランは炎の中に消え、同時にエドガーの消息も途絶えるー。

 

<Vol.1>

 2016年 ドイツ・ミュンヘン マリエン広場

ファルカがエドガーの姿を見つけ、駆け寄ってくる。エドガーは「さわらないで!!」と。2人はカフェに入り、再開を喜ぶ。

 

1976年ロンドンで火事に巻き込まれ、エドガーたちは消息をたった。

エドガーは眠っていたと。最初に耳が回復し、次にエドガーを呼ぶ声が聞こえた。目覚めたのは”グールの丘”と呼ばれている場所で、昔々小さな村があった。崩れた地下の洞窟の中で、エドガーは塊を抱きしめていた。それが、アランだと。

去年、アーサーのところに行き、彼の手助けを得てエドガーの姿に戻ることができた。

 

エドガーは持っているトランクを指し、アランはここにいると。彼を元に戻してほしいと言う。

エドガーは飢えており、触られると干からびるまで喰べてしまうと。

 

その時、それに同意する声があった。ファルカに「ダイモン(悪魔)」と呼ばれた男は、ファルカとは昔の仲間で、エドガーとは1958年ベニスのコンサートで会ったことがある。ファルカはダイモンを追い帰したいが、ダイモンはアランをよみがえらす方法を知っていると言う。

 

そこに、シルバーもやってくる。シルバーはエドガーの姿を見て泣いて喜ぶが、その場にいるダイモンの姿を見て驚く。シルバーはダイモンのことを「疫病神の”バリー”」と呼ぶ。ポーの一族だったが、村から追放されたと。

 

 エドガーはアランを再生する方法を知っているバリーについて行く。

 

<Vol.2>

1958年 ベニスでサンタルチア協会のコンサートが開催される。

 

ベネチアのホテルでエドガーたちはブランカと再開した。近況を話していると、ファルカがやってくる。コンサートではファルカは演奏をし、ブランカも歌うとのこと。

 

コンサート当日、ファルカはバリーと出会う。バリーは”ミューズ”と名乗っており、コンサートで歌う予定だと。

その頃、ブランカはダン・オットマーと再開していた。

 コンサートにはダン・オットマーの母、バチカンのペペ神父とアマティ神父もやってくる。

 

コンサートが始まり、音楽に耳を傾けているエドガーの元に使いがやってくる。連れられて別室へ行くと、そこにサンタルチア協会のシスター・ベルナドットがいた。彼女はルチオの始祖で、紀元前から生きている。ルチオ一族はギリシャ出身で、かつては神官や巫女であったが、国が滅亡してナポリやローマに逃れた。だがやがて、ローマは国教をキリスト教に変えたため、異教徒とみなされて追われた。彼女たちはベネチアに逃れ、それからそこで古代の預言書などの管理をしている。バチカンの神父は連絡係として働いている。

エドガーはルチオの一族に誘われるが、それを断りコンサートへ戻って行く。

 

ミューズの歌の後、アランは彼に会いに行く。歌の感想を伝え、ミューズに名前を聞く。ミューズは歌をほめてもらったからと、名前を教える。

 

コンサートが終わり、それぞれ戻って行く。

 

<Vol.3>

 1975年6月 ロンドン

公園の向こうの花屋にエドガーとアランは注文していた花を取りに行っていた。そこでクロエの姿を見かけ、エドガーはひとりで追いかけていく。

公園の向こうの病院にいたクロエはエドガーに声をかけられて驚く。

クロエがポーの村から逃げて、エドガーは毎年のご奉仕がなくなった。代わりに村へバラを送っている。だが、クロエは村のバラは100年もたてばまた再生すると言う。

 

千年以上も昔の話、9世紀頃。クロエはヨークシャーの小さな村に住んでいた。

ある夏の流行り病で彼女の村もやられた。夫も子供も一晩で死んでしまい、彼女も死ぬために森へ行った。そこでハンナと名乗る女性に出会い、彼らの仲間に加わった。

大老らは「ポーの一族」と名乗り、ローマから旅をしてイングランドにたどりついたと。仲間にはフォンティーンと呼ばれる金茶色の瞳と流れる金色の髪をもった美しい男と彼の異母弟のバリーがいた。

やがて、ハンナたちはポーの村をつくり、バラを植えた。一方、フォンティーンたちは村から離れた所にある城に住みはじめた。クロエはフォンティーンに恋しており、城で暮らしたかった。ハンナに反対されたので、クロエは逃げた。そして、燃えている城を見た。

3日後大老がひとりで村に帰ってきて、みんな始末したと言った。何年たっても年をとらない城主たちを征伐にやってきた騎士の手助けをしたと。ただひとり、バリーは逃げたとも。

その年の冬、バリーは村に帰ってきた。バリーは大老が兄を運んでいったと言い、村の地下深くにフォンティーンはいた。根に全身を絡まれて、眠っていた。村のバラが冬になっても枯れなかったのは彼の力だった。

冬が終わったある日、バリーは村中のバラを枯らして、逃げた。

 

それからバラが再び咲くようになるまで100年近くかかった。

バラが咲き出したら大老とハンナは村から出て、ウェールズのスコッティの村に来た。クロエは時々地下の洞窟に降りてフォンティーンを見ていた。やがて、フォンティーンのことを知る者は減っていった。

 

エドガーとクロエが会っている頃、アランは公園でバリーと出会っていた。アランは会いたくなさそうだが、バリーは会えて嬉しそうだ。

 

花屋にエドガーとアランが戻って来た。

 

1976年6月 ロンドン

古物商が火事で燃えている。エドガーとアランは炎の中にいた。

 

<Vol.4>

ベニスのコンサートから5年後

アランがひとりで舟の上でくつろいでいると、バリーが突然顔をのぞかせる。アランの舟に移り、話をする。

彼の名はバリー・ツイストと言い、3世紀頃のローマで仲間になった。美しい兄がいたが、今はひとりだ。ファルカとヨーロッパをあちこち旅したこともある。

彼はひとりで塔を造っている。秘密だが、アランになら見せてもいいと言い、空間を超えて連れていく(ファルカの移動と同じ)。そして、カタコンベ(地下墓地)にやってくる。そこは暗く、人間の骨が多数ある。バリーの塔は骨と遺跡の石で造られており、アランは気味悪るがる。

バリーには敵がいる。美しい兄を助けるために戦いを挑むが、敵は強く負ける。だが、絶対平伏したりしないと言い、アランを置いて消える。

戻れなくなったアランが「ユニコーン」と叫ぶと、バリーが戻ってくる。そして、アランを元の場所に戻す。

 

バリーをユニコーンと名づけたのは兄だった。兄だけが知ってる名前だったが、ベニスでアランに名前を教えた。けれど、忘れる暗示もかけた。そして、なぜかバリーは名前を呼ばれて逆らえなかった。